平屋建ての間取りのメリット・デメリット

平屋建ての家メリットデメリット

元々は、標準的でもあった平屋建て住宅ではあるが、都市化や住宅の多機能化により、次第に平屋建ての割合が少なくなり、現在では、2階建てや都心部においては3階建て住宅がスタンダードとなっている。しかし、改めて今、平屋建てのニーズが高まりつつある。

平屋建ての間取りのメリット・デメリット


A. 平屋建て住宅のメリット
1.シンプルな生活スタイルに馴染む
2.構造的に安定している
3.バリアフリーで老後生活が安心
4.メンテナンスし易い
5.コミュニケーションを取りやすい間取り

B. 平屋建て住宅のデメリット
1.敷地面積が必要
2.建築コスト・坪単価が高くなりがち
3.直射の日当たりの確保が難しい?

C. 最後に

 

単身用平屋建ての家間取り図南北に開かれた平屋建て住宅間取り図平屋建てのコートヤードハウス間取り図中庭のある平屋の家

A. 平屋建て住宅のメリット

1.シンプルな生活スタイルに馴染む

贅沢に物や空間に溢れた暮らしではなく、身の丈にあった心地よい暮らし方が見直されてきている。
そんな暮らし方、コンパクトでシンプルな暮らし方に合う間取りを組みやすいということでは、平屋建てが適してる面が多いと言えます。

2.構造的に安定している

単純な話し、一目でわかりますが、平屋建ての家は、構造的に安定した造りとし易い。

建築基準法では、建物の構造に関して、主に、耐震性と耐風性に関して、基準を設けいる。必要最低限の耐震壁の量を平屋建てと2階建てで比べた場合、平屋建ての家では、1㎡あたり11cmに対して、2階建ての家では、29cm必要となる。平屋建ての場合、それだけ少ない量の壁にて強度を確保することが出来るということ。
昨今は、暴風雨なども多く、耐風性という観点からも同様に平屋建てが有利となります。

3.バリアフリーで老後生活が安心

足腰が悪くなった際などには、フラットな同一フロアーにて生活が完結出来るということは、将来的な安心感となります。

4.メンテナンスし易い

長年使う住まいにおいては、外壁のメンテナンスが必要となります。その都度、足場を架けて工事を行うこととなりますが、平屋建てであれば、大げさな足場架けは不要となり、メンテナンスがし易くなります。

5.コミュニケーションを取りやすい間取り

一般的に、全ての部屋が同じ階にあるので、気配が感じ易くコミュニケーションが取り易い間取り、寝室とLDKとの関係性を高めた間取りにし易い。
その反面、距離感を持った間取り、プライベート感ある寝室のある間取りなどが難しい。
という上記の意見が一般的にあるが、間取りの工夫次第で、なんとでもなる問題だと思います。

中庭のあるコの字間取りの平屋建て住宅

B. 平屋建て住宅のデメリット

1.敷地面積が必要

2階建て・3階建ての住宅と比較すると、当然、敷地面積は必要になります。
平屋は贅沢なもので、敷地面積が100坪程度無いと実現出来ないとざっくりと考えられている方も多い。
しかし、一概にそうとも言い切れません。

延べ床面積25坪~40坪・法廷建蔽率50%~70%から逆算した必要な敷地面積について、下記をご参照ください。

建蔽率50%の場合
延べ床25坪程度 → 敷地面積50坪必要
延べ床30坪程度 → 敷地面積60坪必要
延べ床40坪程度 → 敷地面積80坪必要

建蔽率60%の場合
延べ床25坪程度 → 敷地面積41.7坪必要
延べ床30坪程度 → 敷地面積50坪必要
延べ床40坪程度 → 敷地面積66.7坪必要

建蔽率70%の場合
延べ床25坪程度 → 敷地面積35.8坪必要
延べ床30坪程度 → 敷地面積42.9坪必要
延べ床40坪程度 → 敷地面積57.2坪必要

2.建築コスト・坪単価が高くなりがち?

同じ床面積だとして、単純計算で、基礎面積・屋根面積が倍となります。当然、その分、コスト増となります。
ただし一方で、外壁に関しては、数割減り、階段が無くその分の面積が不要となりますので、2坪程度(4畳~6畳程度)面積が減るという面もあります。
とは言え、やはり、平屋建てにすると建築コストが高くなりがちでとは言えるかと思います。

1階面積と2階面積が同じ総2階建ての家は、坪単価的には安くなります。ただ、間取りを考える上で、必要だと思う面積より、1階が狭く、2階が広過ぎるなどといったことが多くあります。坪単価のために家づくりをするわけではありませんので、必要な分にだけ物・金を掛けて、不必要な分はコンパクトに!というシンプルライフを考える方には、総2階という考え方は合わないですね。

3.直射の日当たりの確保が難しい?

東西方向に広い敷地であれば問題ありませんが、間口に制限のある敷地では、南面する部分に制限が出ますので、南面する部屋が少なくはなります。2階建てであれば、その倍の分だけ南面間口は確保可能ですので。
ただし、南面ばかりが明るい家づくりだとは思いません。東向きや北向きだって良い採光を確保することは可能です。平屋建ての家の間取りに関しては、色々な採光・日当たりの考え方をすることを求められます。逆に言えば、その分、多様なスタイルの間取りを想定することが出来るのです。2階の間取りに制約されないという点もメリットですね。

南北に開かれた平屋建て住宅間取り図

C.  最後に

2階建てが良いか平屋建てが良いかで迷う建て主は多いと思いますが、単純な2択を悩むというのは、意味の無いことだと考えます。
1階に何の部屋が欲しいか? なんの機能が欲しいか? 2階であるべき部屋はあるか? 寝室は、2階の方が安心感があるか? LDKの近くに子供部屋があった方が良いか? という個々のスペースに対する視点で考えられるのが良いかと思います。
その結果が平屋建ての間取りになるのかもしれないし、一部の部屋が2階にあるという2階建ての間取りになるのかもしれません。 大枠での、平屋建て・2階建てのメリット・デメリットを把握した上で、個々のスペースをどう関係させて間取りとするかという視点で考えていくことをおススメいたします。

3つの中庭を持つ平屋建ての家間取り図

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