二世帯住宅の間取り [共用と分離?]

二世帯住宅の間取り完全分離・共用

二世帯住宅を計画する際に、建て主がまず最初に間取りの段階で思い悩むポイントとしては、各世帯をどの程度分離するかという点!

二世帯住宅の間取りの共用と分離はどの程度が良いのか?

完全分離から、一部共用、全部共用など、いろいろバリエーションが考えられる。
その特徴を下記の順にて解説します。

1.完全分離型の二世帯住宅の間取り
2.玄関共用の二世帯住宅の間取り
3.浴室共用の二世帯住宅の間取り
4.ダイニング・キッチン共用の二世帯住宅の間取り
5.リビング共用の二世帯住宅の間取り
6.全部共用の二世帯住宅の間取り
7.最後に

1.完全分離型の二世帯住宅の間取り

二世帯が、それぞれ独立の玄関を設けて、各世帯が独立した住まいとする間取り。

まずは、プライバシー性の確保。親世帯・子世帯の生活リズムの違いを気にすることなく、2世帯の距離感を保つことが可能ではあるが、面積的・コスト的に許容出来るかがポイントとなる。

完全分離といっても、建物内部にて、世帯間を行き来したいというニーズは高いので、結果として、下記2の玄関共用の方が良いのでは?という意見もあるが、将来的に、どちらか世帯を賃貸に出すことなどを考慮すると完全分離が有利となる。

外出・帰宅などの出入りを詮索されたくないというニーズもあるようです。このあたりは、親子関係の距離感にもより違いが出るところで、出入りによって気配が分かるというメリットにもなります。

>>>完全分離型二世帯住宅の間取り事例

2.玄関共用の二世帯住宅の間取り

二世帯の玄関のみを共用する間取り。

ほぼ、完全分離型の間取りと同じでありながら、玄関を共用する分だけ、面積をコンパクト化することが出来るメリットがある。

デメリットとしては、どちらかの世帯を賃貸に出すことは出来ない点。
十数年後の不明確な要素にどの程度対応しておくべきかは難しいところで、各世帯各者考え方の違いもありますが、話しあっておくべき課題となります。後回しにすると間取り作成に思わぬ不具合を生じることとなります。

3.浴室共用の二世帯住宅の間取り

浴室を二世帯で共用する間取り。

親世帯と子世帯の就寝時間・入浴時間の違いがあることが多いので、比較的違和感なく採用されやすい間取り。

>>>浴室共用型二世帯住宅の間取り事例

4.ダイニング・キッチン共用の二世帯住宅の間取り

ダイニング・キッチンを二世帯で共用する間取り。

ダイニングを共用することに違和感ない方は多いが、キッチンに関しては、使い方の違いなど個性が出易い箇所となるため、世帯で別としたいというニーズがあることも。一つのダイニングに対して、2つのキッチンというのも間取り的に面白いところではあるが、あくまでも1つのキッチンとしながら、シンクやコンロを2つづつ設けるという折衷案を採用することも可能。一般的には、ダイニング・キッチンと同時に、リビングも共用する間取りとするが多いが、

ゆったり目のダイニング・キッチンだけを共用として、リビングは各世帯で独立して設けるということもおススメの間取りです。中途半端な広さのリビングが生まれるよりも、ゆったり目のダイニングの方が共用する空間としては使い勝手が良いということもあります。

5.リビング共用の二世帯住宅の間取り

リビングを二世帯で共用する間取り。

ダイニング・キッチンを各世帯で独立として、リビングのみを共用するという間取りは、あまり、採用されることは無い間取りではあるが、リビングの使い方次第では、おススメの間取りとなる。各世帯に、独立したダイニングキッチンを設けることにより、食事時間を各世帯のペースで過ごしながら、寛ぎ空間としてのリビングを共有するというイメージが可能となる。

また、共用のリビングとは別にサブのリビング(セカンドリビング)を子世帯側に設けるということもあります。

6.全部共用の二世帯住宅の間取り

リビング・ダイニング・キッチン・浴室を全てする間取り。

個室・寝室を家族の数にて確保する間取りとなるので、4LDK,5LDKなどとなることが多い。個室・寝室の数を確保しながら、プライバシー性をどのように確保するかが間取り作成のポイントとなる。

7.最後に

二世帯住宅は、上記のように様々なバリエーションがあります。 加えて、実際の間取りを決定するとなると、更に細かく距離感や関係性に配慮した形で、まとめていく必要があります。
面積的・予算的に制約のある条件の中で、最大限に家族全員が満足いくことが求められるので、設計の難易度は、単世帯住宅に比べ、数段難しいものとなります。

建て主さんにとって、設計のノウハウ・テクニック以上に重要なこととしては、設計与条件としての二世帯の共用と分離の程度をまとめるということ。なんとなくの家族間の相談だけで、設計を進めてしまうケースは多くあります。確かに、作成した平面図・間取り図を見てから家族間で相談しようという考え方もあるとは思います。
しかし、そういったプロセスを歩むと場当たり的な修正にて平面図・間取り図の作成が進んでしまう傾向にあり、デメリットとなることも多くあります。
二世帯の距離感というのは、二世帯住宅を設計する上で最大の課題となります。
当方の場合、建て主さんの距離感の要望に耳を傾けるのは当然のこととした上で、完全分離から全部共用まで多岐にわたるバリエーションのメリット・デメリットを説明をしながら、隠れたニーズや可能性を探ることを重視しています。また、ご家族の中で、あまり発言されない方(意見が無い?方)の意向も大事だと考えています。
距離感に関しての意見は、親族家族間にて、かなりセンシティブな内容なので、簡単に口に出来ないというこも多くあると思います。家づくりで中心となるご家族の意見だけでなく、ご家族全員の意見をバランスよく、まとめていく能力が設計者・建築家には求められていると考えます。

>>>P・i・E 二世帯住宅設計事例

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